Vol.15 菊の里酒造「大那 純米吟醸 那須五百万石」(栃木県)


最近では、次世代の日本酒を担う若き蔵元さんの活躍が目覚ましいようです。その中でも、今私を虜にしているお酒が、栃木の「大那(だいな)」です。



思い入れがあるのには理由があります。事の初めは渋谷から。2010年10月、若手の蔵元さんが集まる日本酒イベントに行ってきました。日本酒特集の雑誌を賑わすような銘柄が、所狭しと並べられています。その中でも、静かに、しかし熱く自蔵のお酒を語っておられたのが、菊の里酒造の阿久津信専務。しかも試飲会の間、大阪からの3泊分の荷物を預かっていただくというほどのご親切を受けました。思い切って「明日、蔵にお邪魔していいですか?」とお願いしたところ、「え゛〜!」と驚きながらも、「忙しくしてますが、どーぞ。」と突然の訪問を快諾していただきました。

菊の里酒造(株)は、栃木県大田原市、那須高原の麓に広がる田園地帯の真ん中にあります。この大いなる那須の大地が育んだ豊穣なバックグラウンドを大切にし、それを日本酒という形で伝えられたらとの思いで「大那」と銘名されました。



慶応2年(1866年)に創業された酒造業は、「一流」「君の友」等、代々の銘柄を経て昭和30年(1955年)菊の里酒造に発展しました。家族三世代と従業員一人で製造される日本酒は年間300石(一升瓶3万本)と全国的にみても小規模です。
「酒造りは米作りから」の考えを基に、原料米は地元那須地区の五百万石を中心とし、自社田での契約栽培にも力を入れています。この地域ではじめて、山田錦、雄町の栽培もしています。阿久津専務は、造りの説明はもちろんですが、特に酒米については熱く熱く語っておられました。

目指しているのは、究極の食中酒。本来日本酒は、食事と一緒に楽しむもので、しっかりとしたお米の味をベースに、やさしく包み込むような酸味と、口に残らない切れ味をコンセプトとして、大那は造られています。



ここでご紹介したいのは、「大那 純米吟醸 那須五百万石 瓶火入れ」です。契約栽培農家の那須産五百万石を100%使用しています。甘ったるくなく爽やかな上立ち香、清涼感があり落ち着いた酸味、素直だけどふくらみのある酒質、のどの奥でかすかに感じられる上品な苦み…あえて分析するならこんなところですが、ひとことで言って…いつまでも飲んでいられる飽きのこない美味しいお酒!美味しいお酒は、美味しこといアテが欲しくなるもの。相性の良い料理を想像してみるに・・・川魚の塩焼き、アマゴなんか最高。山菜の天ぷらとかイクラのおろし和えなんてのもありですね。那須産の美味しい野菜たちと合わせると、大那も喜んで、さらにもっと美味しくいただけることでしょうね♪
 
「佳き日本酒との出会いは、佳き人との出会いである。」−をまさに実感した、素晴らしいお酒です。



データ
アルコール分:16度以上17度未満
精米歩合:麹米50% 掛米55%
使用米:五百万石(栃木県那須産)
100%使用
日本酒度:+2
酸度:1.8

菊の里酒造株式会社
http://www.daina-sake.com/

レポート:森本文子 

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