Vol.12  神杉酒造「純米酒 濁(Nigo)2nd」(愛知県)


毎年大晦日はバタバタと片付け仕事をしています。いつも変わらず騒然とした年越しです。
大所帯の我が家では仕事が終わった人間から順次、座って一杯やるのが決まり。
テレビは当然「紅白歌合戦」よりも懐メロを主体にした「年忘れニッポンの歌」。まだ片付けている部隊は画面を見ることなくナツメロカラオケ代わりに聞いていればいいので仕事もはかどるのです。

そんな年越し、決まって登場するお酒が「濁(ニゴ)」。神杉酒造さんが地元愛知県安城産の米「若水」で醸造した純米生酒で、『これは危険なお酒です』という注意書きが書かれています。
というのは、醪(もろみ)を荒越しして造ってあり、酒が生きているため、開けるときに吹き出しやすいからです。



この酒は年末年始に呑むのがグー。子ども達と一緒におとっつぁん連中が嬉しそうに甘酒を飲んでいるようで、傍目には大変健康的な光景に見えます。
とはいえ「これだと昼間から飲んでいても『酒飲み』扱いされないから便利なんよ」というおとっつぁん達、完全にばれてるんだけどネ。
ただ、封を開ける度に大の男どもがワーワー騒いでいる光景はおめでたい感があって、あまり怒る気になりません。うーんそう考えると、平和な酒であります。


地元皆で育てる酒造好適米『若水(わかみず)』

日も暮れた頃、片付けも終了。背後のテレビからやるせない望郷演歌なんかがしんみり流れだして、私もノスタルジックに酒が欲しくなってきます。着替えてオコタに入ると、酔っ払い連中が『まだ片付け仕事をしてる奴らはどうしてこんなうまい酒を呑まずにいられるのだろうか』ということを話し合っています。

この酒は心地の良い酸味があって、ほんのりと蒸し米の香りがし、微かな炭酸ガスの清涼感から飲みあきしません。米の粒々がいかにも「濁酒」独特の荒々しい気配ながら、喉越しは上質のとろりとした神の酒、といったあんばい。この時期の肴である鍋や脂の乗った魚にも良く合います。特にすき焼きやブリしゃぶ、クエ鍋などをアヂアヂ、ホフホフとつまみながら、大晦日に呑む気分といったらないです。たちまちぐいぐいいってしまいます。


毎年執り行われる『初しぼり神事』


地元民、3500名超!であふれかえる蔵開き


試飲コーナーにこだまする「うみゃ~」の声

最後は私も一緒になって『たぶんまだ片付けている奴らはこのうまさに気がついていないのだろうから、当分この酒がうまいということは内緒にしておこう。で きればまずいまずいとみんなでことある度に大声で言うことにしよう』・・・などということを毎年ぐびぐび呑みながら笑って話し合うのでした。

こんなにうまいから危険なお酒、と銘打っているのだナ、というもう一つの理由が見えてくる頃には、もうかなりの酔っ払い。結局飲みすぎるが故に、「危険なお酒」だったという罠。チャンチャン(笑)
※飲む前に、以下の点にご注意ください
1.十分に冷えていること(5度位)。冷えていないと活性がすすむため吹きこぼれてしまいます。
2.開栓前には絶対に振らないこと!とにかく大変なことに・・
3.吹きこぼれても処理しやすいように、タオルや敷物または桶等を準備すること。
さあ、多少の吹きこぼれはご愛嬌デス。冷たくてちょっと刺激的なその一口を想像しながら…オープン!

データ
濁 2nd(ニゴ セカンド)720ml
価格:1470円
アルコール度数:17度以上18度未満
原料米:地元愛知県安城産の米「若水」
精米歩合:65%

★今回は神杉酒造さんについて、受賞歴も多い歴史ある蔵元さんにもかかわらず、その辺りにはあえて触れませんでした。
神杉さんのこだわりについて書くにはページがとても足りません。詳しくはHPをご覧下さい。
神杉酒造 http://www.kamisugi.co.jp/

レポート:田中順子 

女唎酒師軍団が選んだ偏愛酒・溺愛酒