Vol.11 竹の露酒造 「純米大吟醸 白露垂珠 出羽燦々」(山形県)


私の偏愛、溺愛酒は竹の露酒造さんが醸す「純米大吟醸 白露垂珠 出羽燦々」です。
“おくりびと”や“たそがれ清兵衛”、“十三人の刺客”など、数え切れないほどの映画のロケ地となった、まさに映像に残しておきたい雄大な景色が広がる、山形県は鶴岡市にあるお蔵です。
羽黒山神社の門前町として知られる羽黒町に位置し、冬場は深い雪に包み込まれます。
蔵の地下300mから湧き出る完全無菌の高度22度という超軟水を仕込み水として利用しているのですが、この水が特筆すべき旨さで銀座にある山形物産館でも販売されているほど。お蔵にお邪魔する時には空のペットボトルを持って行っていつも頂いて帰ってきているほどです。



こちらは私が生まれて初めて本格的な蔵見学をさせて頂いた蔵で、酒の味に惚れ込んでいるのは勿論、代表の御夫妻にも大変思い入れがあり、まさに「偏愛、溺愛」のお酒です。
代表社員の相沢さんは元々公務員でしたが蔵元の娘さんである奥様と御結婚されて日本酒業界に転身された方で、独特の感性を持っていらっしゃり日本酒に対する大変熱い思いをお持ちです。海外にも積極的に出向かれており、酒のイベント等でお会いするたびにあの優しい穏やかな笑顔に元気を頂きます。
普段のそんな優しい姿から一転、酒の説明をして下さる際には元公務員の流石の頭脳明晰さが発揮され、細かい数字や専門用語が淀みなく溢れだし、必死にメモを取らないと追いつかないほど。
徹底的にこだわった「蒸し」と手間を掛けた麹蓋での麹造り、徹底的に作り込まれた独自の管理表を使って温度を調整しながら長期低温で醸すことにより、モロミの完全発酵を実現させました。
酒の個性を言い表すのに“淡麗辛口”、“濃醇旨口”といった表現がありますが、白露垂珠の酒は「淡麗旨口」や「芳醇淡麗」等と表現されています。言い得て妙とはこのことをいうのでしょう。
しっかりとした旨味を保有していますが、キレがあり嫌味な甘味が一切ない為大変バランスが良く、食中酒として召し上がる際にも食材本来の味わいの邪魔をしないのです。

竹の露さんでは羽黒酒米研究部会に所属し多くの酒米を研究されており、おかみが「永遠のアイドル」と仰っている美山錦や鶴岡山田錦、改良信交等、多数の種類を醸しています。それぞれの味わいのイメージからラベルの色を決めているそうで、全ての銘柄の一升瓶が並ぶ様は圧巻です。そんな中、すぐに思い浮かぶ山形県の酒米というとやはり「出羽燦々」がTOPに来るのではないでしょうか。山形県酒造組合では「出羽燦々」のテーマソングが作られイベントでよく流れているのですが、御縁があってCDを頂き自宅でも聞き流している内に今では口ずさめるまでになりました。

私の中では少し派手なイメージがこの酒米にはあったのですが、この「純米大吟醸 白露垂珠 出羽燦々」は大吟醸特有の華やかさはありながらも、あくまでも上品な香味で飲み飽きることなく、延々と飲み続けられる酒なのです。料理の邪魔をせずあくまでも隣りにピッタリと寄り添うような、まさにアゲマンな酒と言えるでしょう。代表の相沢さんを立てて縁の下の力持ちとして頑張る竹の露のおかみさんの姿がフワ~ッと思い浮かんでくるのです。
あの御夫妻のお人柄に惚れているファンの方、多数いらっしゃるのではないでしょうか。
自腹で一升瓶を何本も購入するという経験を初めてさせてくれた「出羽燦々」、これからも私の中で永遠に残る一本です。



データ
純米大吟醸 白露垂珠 出羽燦々
原料米:出羽燦々
精米歩合:40%
アルコール度数:16~17度
日本酒度:+1
酸度:1.2

レポート:大西美香

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