「Sake Study Vol.4」 宮城の蔵探訪ツアー 其の一【伯楽星・新澤酒造店】


「Sake Study Vol.4〜5」は「宮城の蔵探訪ツアー」と題し、軍団メンバーからも熱い視線を受ける注目の2蔵を見学。参加メンバーは総勢9名!南は福岡から飛行機を乗り継いでの参加!!
いやはや、その前向きさに頭が下がりますね。



「きき酒名人」最年少記録を持つ若き杜氏が醸す「伯楽星」

初日訪れたのは「伯楽星」ブランドで今や全国的にも注目されている新澤酒造店。
最近の動向で言えばJALファーストクラスの機内食や、FIFA公認酒に採用されるなど目覚ましい活躍を見せている蔵です。
その中枢を担うのが実質蔵元であり、酒質設計者でもある新澤杜氏、34歳。
東京農大在学中に取得が難しいとされる「きき酒名人」最年少記録を打ち上げた他、数々のきき酒大会での優勝経験を持つ方。
今回は蔵見学と共に、新澤杜氏の酒造りにかける想いをじっくりと伺うことが出来ました。




目指すは「究極の3杯目」

「伯楽星」が目指すコンセプトは「究極の3杯目」。
酒としてのインパクトを追求しないため喉に残らずベタつかない、料理の脇役として食が進み、気づけば盃を重ねている、そんな定番の酒。
新澤杜氏曰く「第一印象は美味しいとは言えない。でも“伯楽星がおいてある料理屋なら間違いないよね”そんなスタンスを目指している。」

フレッシュさが命!だから甘さはギリギリまで抑え、蔵を出荷する段階の「伯楽星」は若くて渋く、味がほぐれていない状態。
それが酒販店や飲食店を経てお客様の口に入る頃が飲み頃になる、栓を開けてからクォリティーの高さがわかる酒なのです。

常にフレッシュな状態で飲んで頂く為の努力も半端じゃない!
良質管理適正在庫をする特約店は常時県外25店に維持し、飲み頃を過ぎた商品は随時回収・交換する「フレッシュローテーション」という品質管理体制を徹底させています。

蔵見学では昨年導入した精米機から始まり、一連の工程を見学。麹室では何と「どぶろく特区」用の仕込み体験まで!!厚着の私達が、想定外に汗をかいている1コマをご覧下さい(笑)

見学後には純米吟醸と特別純米の糖度違い計16アイテムを平行ブラインドティスティング。「自分が今まで描いていた“食中酒”という概念ではない!」「この固さが、どういう風に変化して行くか楽しみ〜!」そんな声が聞こえてきました。




ブレないグラつかない「新澤イズム」

今回何より印象に残ったのは新澤杜氏自身のブレのない哲学=「新澤イズム」、ここに尽きます。

“近くのバナナを取るか、苦労しても遠くのメロンを取るか?”

詰まる所、ブームに乗った楽でわかりやすい酒を造るか、己の追求テーマをつらぬき深化させていくかの選択。

「自分はあえて遠くのメロンを狙いたいし、そういう仲間達と支えあいたい。」
新澤杜氏のこの言葉の影には農大卒業後家業を継いだ時点で、売上2千万に対し赤字が2億以上、まさに廃業寸前、どん底のスタートから「伯楽星」ブランドを見い出し、ここまで成長させてきた苦労があります。
“究極の食中酒”という方向を打ち出し突きつめつつ、昨年には精米歩合9%という驚異の酒「残響SUPER9」にも挑戦。その姿勢に“男の美学”を感じずにはいられません。

宮城県沖地震の被害の痕跡がまだ随所に残る蔵内部を巡りながら、「人が醸すことの重要性」をあらためて再認識しました。

新澤杜氏、及び蔵人の皆様、お忙しい中、本当にありがとうございました。




レポート:早坂久美

女唎酒師軍団活動レポート