2013秋 「中国料理と楽しみたい地酒大show」総評

 本年度、次年度の「アナタが選ぶ地酒大Show」は、SSI設立25周年、FBO設立15周年の記念事業の一環として、日本の地酒(日本酒・焼酎・リキュール)の食中酒としての可能性を探るべく「世界各国料理との相性」をテーマとし、前回はフランス料理、そして今回は「中国料理」を取り上げました。
中国料理は「肉料理が多く、味付けの濃い北京料理」、「辛味の強い四川料理」、「新鮮な魚介類を使用する上海料理」、「最もポピュラーな広東、福建料理」など様々ですが、他国料理と比べると「油分が多く」、「味付けが濃厚」な点が特徴になると思われます。会場では「麻婆豆腐」、「油淋鶏」、「海鮮炒め」を実食しながら投票頂きましたが、中国料理ならではの投果となったと思われます。
まず1位に古典醸造法で造られた濃厚な甘味と酸味を持つ「越後鶴亀 純米 諸白」、2位に生酛造りならではの充実した旨味と酸味を持つ「大七皆伝」、3位に紫黒米を原料にした濃厚な甘味と酸味を持つ「紅美酒」、4位に極めて濃厚な甘味と酸味を持つ「貴醸酒」が選ばれました。
濃厚な「甘味」と「酸味」を持つアイテムが中国料理と好相性を示す地酒として評価された訳ですが、長期熟成させた「熟酒」タイプも数多くランクインしている点、江戸元禄時代のレシピの地酒や、貴醸酒タイプ、樽熟成麦焼酎、じゃばらを使用したリキュールなど、個性的なアイテムが高評価を得ている点が中国料理ならではと思われます。
また、スパークリングタイプ、大吟醸、吟醸規格の地酒もランクインしており、味付けの濃い料理と「同調」するアイテムばかりではなく、スッキリした軽やかな香味とのマッチングを好む人も多いことが伺えました。

前回のフランス料理の際は、果物や花のようなフルーティーな香気の「薫酒」タイプのランクインが多かったのに対し、中国料理では「熟酒」、「醇酒」、「その他のタイプ」の評価が高く、料理によって評価される地酒が異なることが明らかになったと思われます。日本の地酒の「食中酒としての面白さ」が証明されたような投票結果になったと思われます。
※前回の投票結果はこちらをご覧ください。
【特別賞】麻婆豆腐と楽しみたい地酒大show
貴醸酒(若鶴酒造/富山県)
【特別賞】油淋鶏と楽しみたい地酒大show
越後鶴亀 純米 諸白(越後鶴亀/新潟県)
貴醸酒とは仕込み水の一部を日本酒に変えて造られており、濃厚で強い甘味が特徴。デザート類のパートナーとして活用されることが多いのですが、麻婆豆腐のように味付け、油脂分が強い料理との組合せも評価されることが判りました。    250年前の古式醸造法で造られた純米酒。アミノ酸値、乳酸値が通常の純米酒の7~10倍含まれており、油淋鶏の香ばしさと、タレの甘い味わいと同調する 組合せが評価されたと思われます。このような特殊なタイプの日本酒は、中国料理(もしくは濃厚な料理、香ばしい鶏料理、甘いタレ)と楽しめるという新しい 発見となりました。
 【特別賞】海鮮塩炒めと楽しみたい地酒大show
大七皆伝(大七酒造/福島県)
   
   今回の実食の中では、上品で軽やかな味付けの料理ですが、それなりの旨味とコクを備えているのが中国料理の特徴。大七皆伝のように「軽やかさ」、「華やか さ」、「深さ」を備えたキャラクターが好相性と評価されました。生酛造りの日本酒は、吟醸規格でも食中酒としてのふさわしいことが伺えました。    

秋田県三種町森岳じゅんさいと美味しい地酒大show

今回は秋田県三種町森岳の「じゅんさい」との相性も体験頂きました。独特のぬめりと爽やかな風味、ごくごく淡い味わいがじゅんさいの特徴。投票結果を見ると、主に「華やかな香気が持ち味の薫酒タイプ」、「シンプルで軽やかな香味の爽酒タイプ」が好相性であると評価されました。じゅんさいと薫酒、爽酒タイプの相性は、「繊細さ」、「淡さ」、「奥ゆかしさ」など、日本人の感性に響くような楽しみ方ができると思われます。
文:FBO・SSI研究室

日本酒の香味ポジショニングMAP
赤丸が今回の受賞酒(ブロンズ除く)

焼酎の香味ポジショニングMAP
赤丸が今回の受賞酒(ブロンズ除く)