Vol.28 日本酒にトコトン向き合う都会のおでん屋 「件-くだん-」(学芸大学)


東横線「学芸大学駅」を降り、程なく「件」に到着。
軍団仲間である親友に連れて来てもらったのが最初の出会い。彼女がおひとりさまでやって来るだけあって、日本酒の品揃えが赤提灯のおでん屋さんとは一線を隔すお店なのです。

暖の効いた楽しげなテラス席を横目に店へ入ると、お出汁の心地よい香りに包まれます。ぐるりと目の行き届く正方形の店内はカウンターを含め20席弱。
大将の川邊さんが奥さまの地元でありご自信も馴染みのあるこの場所に運命を感じ、2004年の秋に創業しました。

カウンターに通してもらうと、大将の料理人の仕事と若いスタッフのてきぱきとした爽やかさ、仕事をしている感がビシッと伝わってきます。

お通しに「柔らかく煮た手羽」。
お出汁で煮た程よい味にエキゾチックなソースがマッチして食欲を誘います。(今日はお燗のコースにする!と密かに決める。)

先ずは「手作りクリームチーズ豆腐」にあわせて「綿屋」をぬる燗で。ソフトな発酵の美学が舌に絡みます。
続いて「コウネ付きの馬刺し」は自家製ニンニク醤油で。「不老泉」をお燗にしてもらうと、ミネラル感と粘りがぅん~マッチ!
「丹沢山」「十五代九郎右衛門」とお燗と肴は進んで真打のおでんが来る頃ちょうど「大七」の登場。

おでんを、これまた美味の自家製の辛子味噌をつけて一口。また柚子ととろろ昆布が名脇役…
「たっぷりのお出汁が只々美味しくて、和らぎ水代わりといっちゃ失礼かしら?」と思いながら飲み干して。
ふとお品書きに目をやると、

【出汁は天然素材のみを使用 添加物は一切使用しておりません、最後の一滴までお召し上がりください。】

とあって。お皿を下げてくれたスタッフにっこり。合格??

そう、店名である「件」意味は例の事、基本の、とか「いつもの」と言うお出汁をとるという当たり前のことを大切にしたい大将の思い。
おでんに賭ける情熱なのです。

〆酒は憧れの「王禄」を冷酒で。春の超辛純米をいただき、その後は私の好きな「喜久酔」特別純米でゆるゆると、大将とのおしゃべりで時は過ぎます。

川邊さんはお酒に対して流行りを追わない。
作られた旬に振り回されない。
味の変わっていくお酒ならイチバンいい時に…
年間を通して変わらないお蔵酒なら守りたい店の味とのバランスを大事に…
お蔵や酒屋さん、お客さんとの信頼関係をもちながら、そういうスタイルが決まっている。格好いいな!

独りでじっくり、みんなで楽しく、好きな人と二人で、いづれでも日本酒とお料理を堪能できる日本酒党にありがたいお店です。


鮭ハラス / おでん




馬刺 / 風呂吹き大根あん肝ソース

  「和酔家 おでん 件 くだん」
東京都目黒区鷹番3-7-4 関口ビル1F
(東急東横線 学芸大学駅 西口 徒歩2分)
TEL:03-3794-6007
営業時間:17時~24時(L.O.23時)
定休日:月曜
レポート:イトウマイ

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