Vol.17 水天宮から程近い高級料亭 人形町 きく家 はなれ(人形町)


人形町の駅を出るとすぐに「玉ひで」の看板が目に入る。
親子丼のとろけるような卵の感触を思い出しつつ、地元の買い物客と威勢のいい店員の掛け合いで賑わう商店街を通り抜けて行きます。

甘酒横丁からすぐの大通りを脇に抜けると、今にも背後からラッパを吹きながら屋台を引いて豆腐やアイスキャンディーを売りの声が聞こえてくるような路地に入ります。

そこは人と人がすれ違うに心地よい道幅で、下駄のカランコロンという音が両端の家にこだまして響いてくるような空間です。
そんな日常の喧騒から逃れるような一角に控えめな佇まいでお客を受け入れてくれるのが「人形町 きく屋 はなれ」である。



料理もそんな店構えそのものので、「何も足さない何も引かない」という言葉がぴったりの素材そのもの味をいかすものばかりである。
たとえば、豆腐もあえてにがりを使わない製法で、塩・胡椒・オリーブオイルでシンプルに味わいます。
どのメニューもお酒と料理どちらかを引き立たせるというよりも、お酒も料理もどちらも包み込み調和させるものばかり。



献立表を一目すると時節がわかる四季に委ねたものばかりである事がよくわかる。
伝統的な和を重んじつつも洋の要素もさりげなく取り入れ組み合わせる、まさに温故知新を思わせる演出である。
これは供すお酒を知り尽くしているからこそなせる技なのでしょう。



また、高級料亭との称号がついているにもかかわらず、敷居の高さを感じさせません。
それは、お酒について語るとまるで自分の子供の話でもするように、蔵元さんのことから味わい方まで熱く語る、女将さんの気さくな人柄からでありましょう。

時間をどこかにおいてしばし日常の騒々しからはなれ、是非一度訪れてみては如何でしょうか。



人形町きく家はなれ
東京都中央区日本橋人形町1-5-2
03-3664-9032
17:30~22:30
定休日:土・日曜、祝日
レポート:柳澤恭子

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